人気
こうた
その女の子は 俺に
オモチャの指輪を差し出しながら
「大きくなったら 結婚しようね」
そう言って 微笑んだ。
しかし 親の転勤で
僕は 遠い街に引っ越す事になった。
僕は 泣きながら
「大きくなったら 結婚しようね
大好きだよ、、、」
キーホルダーを差し出しながら
約束を交わした。
それから 数十年の月日は流れ
僕は 昔住んでいた 地方の
小さな会社に 就職を果たす。
「(僕)さん!お疲れ様です!」
笑顔で挨拶を交わす
事務の女の子に 僕は心惹かれている。
僕は まだ気付いていない。
事務の女の子が バッグに付けている
キーホルダーに。
#短編小説

レミ(´ω`)
サンプルありま〜す‼️
【七柱の悪魔と才なき英雄】〜上巻〜
Kindleにて販売開始しました(*^^*)
#ファンタジー #悪魔 #AIillustration #短編小説
#七つの大罪


りく♬*°
初めて書くのでお手柔らかに……。
私にはふと、考えてしまうことがある。
私は孤独だ。孤独なんだ。誰もいない 誰も味方してはくれない。周りには敵ばかりなんだ
味方はいない 人は嫌いだ。裏切られる。怖い。
もういっそ"終わり"にしてしまいたい
家を出た。苦しくて悲しくて泣きたくて。
だけど涙なんてでなかった。
私は走った。沢山走った。いつも通る道。通ったことのない路地。
何も考えられなかった。考えたくなかった。
気づくと、見晴らしのよい花畑にいた。
走ったからか息が苦しい。あぁ、疲れた
一呼吸をうってその場に倒れ込む。
時間はわからない 携帯も財布も時計も全て置いてきてしまった。まぁいいか、大の字になって寝転んだ。
空を見上げると
綺麗な満月と満点の星空が私を見下げていた。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。
私は目を閉じた。
ふと目を覚ました。昨日はあれほど走ったはずなのに。満月を、星空を見たはずなのに。
あぁ、夢を見ていたんだ。夢だったんだ。
いつも通りの部屋 いつも通りの外
いつも通りの人のざわめき。
いつもと同じはずなのに
私には何かが違って見えた。
今日も頑張ろう。そう自分の心に告げ、
支度を始めた。
━━━━━━━━━終━━━━━━━━━

おこげ
title【知識のゆき】
サクッザクッザクッ
雪は降ってきた
私の頭の上に
私は上に向き、カパッと口を開けた
雪が口の中に入った
、、、冷たい、、わな
少し立ってるだけで
頭の上に雪が降り積もる
受験勉強が行き詰まったから少し家を出てきた
ほてった頭を冷やしてる
空から降ってくる無数の雪の動きを見てると、記憶が刺激されてくる
早く受験終わらないかなぁ
私、受かるかなぁ
どれだけ勉強しても
試験を受けた、その後にしか答えがわからない問い
落ち着かない日々が続く
私の勉強した知識も、この雪のように頭に積もってくれてるのかな。積もった雪でさ、雪だるま作ったり、雪合戦したり、ええい!憧れのかまくら作っちゃうか!
苛立ち、焦り、熱意の暑さ
整理、集中、深呼吸の冷静さ
頭に積もる雪が私をちょうど良い体温にしてくれる
気持ちが
上がったり下がったり
えーい、上等!それは波だ!波が来てるならサーフィンしてやる!乗りこなしてやるぅ!むしろ、楽しんでやるんだーーー!!!
気付いたら、私は両手を逆ハの字にして思いっきり、雪の空に突き出していた。
時間の経過と共にさらに頭に雪が積もる。
、、、さむっ。
少し出るだけだと思って家着で飛び出して来ちゃってた。
お家でホットミルクでも飲もっと。
さぁ、やりますかね。
このがんばった知識のゆき先が私を支えてくれる。
大丈夫。だって、私、こんなに発想できてるもの!
〈了〉
ーーーーーーーーーーー
いかがでしたか?
もし気に入ってもらえたら、
#プチストーリー で他のお話も見られます。
よかったら、のぞいてみてくださいね。
また、次回作でお会いしましょう!
またね。
#プチストーリー #短編小説
#ジブンシゴトの1つ
#私にふりつもる知識


のと
「もちろん!いいよ!」
なんて、半年前には言ってたのに。
私が君と恋仲になろうとしてしまったから?
あまりにも君に尽くしすぎてしまったから?
今の君からの返信は
冷たくて、
寒すぎて、
凍えてしまう。
それならいっそのこと、凍らせて欲しい。
期待なんてさせないで欲しい。
さっさと私を突き放して欲しい。
なんて、私は君に委ねてばっかりだね。
──ねぇ。君にとって私はなんなの?
君にとって私は、
友達でもなく
親友でもなく
恋仲でもなく
かつて親友"だったモノ"なのかな。
私が間違えていたんだろうか。
どこから、間違えてしまったんだろうか──
#小説 #恋愛って難しい
#短編小説

ゆーは
素人なので 読みにくかったり 分かりづらかったりがあると思いますが。
世間の感想聞いてみたいです🥺🥺
#Gravity
#短編小説


もっとみる 
新着

*꒰ঌるりこ💙️🩵
というのも今は書いてる小説で主人公ちゃんを桜モチーフにしたんですφ(..)カキカキ
その中でいわゆる間女を桜の逆みたいにしたいんです(´-ω-)ウム
皆さんの意見を募りたい(>人<;)
#質問をしたら誰かが答えてくれるタグ
#短編小説

金属バット
僕と八賀は13階建てのマンションの3階にいた。八賀は手すり部分にもたれかかり、向かい側の一軒家に滾った視線を向けている。一軒家はどこにでもあるような、灰色の立方体にところどころベランダや屋根が飛び出ているタイプのものだった。八賀はノースフェイスの大き目なリュックを背負い、手にあんパンを握りしめていた。
「なぁ、八賀」
「なんだ、佐伯」
あんぱんに噛り付きながら、なお家を注視する八賀。僕はため息をつく。
「おれもうかえっていいか」
「な、お前はいいのかあいつの罪…」
「いや、お前の彼女が浮気しているか、見張っているだけだろ。しかも、そのリュックなに入ってんだよ」
「折り畳み自転車だ。ママチャリは普段使いのがアイツにバレている」
「…好きにしろ。俺、明日2限ドイツ語だから、程よき頃に帰るぞ」
「お前、罪と単位どっちが」
「単位」
僕は手すりに背中をあずけ、夜空を見上げた。天気が悪く、星はあまり見えなかった。
「あ、美嘉。美嘉出てきたぞ。」
美嘉はいわずもがな八賀の彼女だ。八賀は急いでLINEを送ると、すぐに返信があった。「家でゲームしてるよ」と。
「行くぞ!佐伯」
「マジで言ってんの」
「当たり前だ。それに、なんか変な事件に梨花が巻き込まれたらどうすんだよ」
「意外とまともな理由もあるのね」
階段を、音を立てないように駆け降りる八賀。その背中をポケットに手を入れながら追いかける僕。たしかに最近、通り魔が流行っていた。しかも体を切断するという物騒な通り魔。しかし、ターゲットは男なので、八賀の彼女は対象外だ。
「…」
美嘉の浮気相手は俺だ。この後、美嘉はコンビニに行き何事も無かったかのように家に帰る。そして、コンビニに行ってたと、八賀にライン。八賀の思い込み、という作戦だった。美嘉から聞いた時は、猪口才な作戦だなあと思ったが、今のところ効いていた。
10mぐらいの距離を置いて僕らは、美嘉の後ろをついていた。美嘉から僕にメッセージが来た。
「ちょろくない?」
ぼくは、ふっと少し吹き出した。
美嘉が、その先にあるコンビニに行くため公園の中に入っていく。電灯が僅かに僕らを照らすだけで、ほかには誰一人いなかった。八賀が無言で走り出す。
「え。ちょ」
美嘉が振り返ると、ダウンのポケットからハンマーを取り出し、美嘉の顔を殴りぬいた。糸が切れたかのように、脱力する美嘉。
八賀がこちらに走ってくる。どんな表情をしているかは見えなかった。ただただ、握りしめたハンマーをバトンのように前後させ、こちらに向かってきた。
そのまま腹を殴り抜く、八賀。鳩尾が変形しそうなほどの衝撃をうけ、体が軽く浮く。味わったことのない感覚にうまく息が出来ない。
「な、おまえ、浮気、気づいていた?」
何とか呼吸を取り戻そうと、わざとらしく「ひぃ、ふぅ、ひぃ」と呼吸を繰り返した。ゆっくりと左右に揺れながら近づいてくる八賀。
「気づいてたよ、まさか俺以外の奴と付き合う何てな」
「ちが‥美嘉は。美嘉は本当にお前のことを好きで」
八賀は目を丸くした。
「何言ってんだ。お前が俺以外の奴に浮気してるからだよ。」
「え?」
八賀は無表情で僕の肩を殴りつけた。
「痛いよな、ごめんな。でもお前が浮気するから。あの女は殺すけど。お前は許すよ。」
自分の身体の隅々まで、襞の内側までが目の前の存在を拒絶する。スニーカーで砂利をこするようにして、さらに近づいてきた。地面に座り込んだ僕と、八賀との距離は1mもなかった。
「なんで…なんであいつと付き合ったんだよ」
「カモフラージュだろ。ほら男同士ってやっぱ奇妙な目で見られるし。」
「俺らは付き合ってなんか…」
「そんなことより!」
八賀がぼくの声をかき消した。リュックの中から、のこぎりを取り出した。新品ののこぎりは形状に比して、あまりに軽い光を反射していた。
「ほら。これで、逃げないように足を切っちゃうね。何、生活なら全般俺が見るから。明日2限ドイツ語だっけ?したら、佐伯の家に7時には行くわ。それでさ。あ、いくよ。我慢してね」
僕は蹲りながらも、顔を上げた。
八賀の顔は見たことないぐらい優しかった。
#小説 #即興 #短編小説

金属バット
「おい、良い加減にしろよ」
僕は涼太と浩介の間に無理やり割って入る。2人は未だ僕の前で胸ぐらを掴みあっていた。
「涼太、お前友達の女取るとかどうかしてるぞ」
浩介の声がサークル棟の中に響く。
「お前がほっとくからだろ、あいつのことを」
浩介より一回り小さい涼太の手が震えていた。浩介が彼女の浮気に気づき追求したところ、涼太が逆上した。2人の揉み合いで部屋の中にあった雑誌や衣装は部屋の四方に、散らばっていった。怒気のせいで温度が高くなった気がした。
「2人とも落ち着け。」
僕が掴みあう手を解こうとしても、均衡を保ちびくりともしない。
「お前は関係ないだろどうせお前は」
事例B
結婚して3年が経つ。夫との最後の会話はいつだろうか。リビングでニュースを見ていると、古びた鉄が擦れる音の後に玄関の鍵が開いた。私はポケットの中の紙に触れる。
「おかえり」
「あぁ」
私の言葉に珍しく夫が反応した。しかし、夫はいつになくよそよそしかった。
「ご飯あっためて食べて」
「待ってくれ」
私は夫に伝え、自分の寝室へ向かおうとすると夫が私をよびとめた。振り返ると、机の上には白紙の離婚届があった。
「もういいだろう」
夫はネクタイを解き椅子にどかりと、脱力するように座り込んだ。
「こんな時だけ気が合うのね」
私はポケットから離婚届を取り出した。夫は微かに息を漏らす。
「皮肉なもんだな。悪かったなお前のことを理解し」
事例C
かちゃかちゃと食器が触れ合う音だけがリビングで鳴っていた。母はこちらに背を向け食器を洗い、父は姿を隠すように新聞紙を広げていた。私は濁った味噌汁を啜った。
「学校はどうなんだ」
父が私に話しかけてきた。表面上の気遣いだ、こんなものは。口の中のブルリとしたなめこの繊維を奥歯ですりつぶした。
「聞いてるのか」
「聞いてるよ、普通」
父は不満そうに鼻を鳴らすと、だまり込んだ。母が食器で音を鳴らしている。私はなめこをすりつぶす。
「わかってるんだろうな」
「何が?」
父の言葉に私は短く返す。
「これ以上学校の成績が悪くなったらだ。それにお前のあの知り合いはなんだ。いつもいつも」
「以上が、前医からの提供があった永沢優希さんの診療情報です。」
私は看護師の名尾さんからカルテを受け取った。診断名には、「人間関係リセット症候群(Relationships Reset Syndrome)1型」と、医師独特の文字で書かれていた。
「またRRSか」
今週だけで5件目の紹介だった。人間関係をリセットするごとに記憶が分断され、人格が切り替わっていく、RRS。
「今回のは女子高生、男子大学生、主婦へと変わっていったのね。性別も変わってるのか。」
「はい。ただ、精神分析療法を用いた結果であって、インタビューまではいけてないようです」
カルテの下にある情報信頼度を見ると、62%(±7)とある。これではどこまで信頼して良いか分からないが、ないよりはマシだ。日々RSSに触れ合っていると目眩がしてくる。
「…先生?」
意識が瞬断される。
「あぁ、少し疲れているのかもしれない」
「そうですね、先生も少しは」
意識が白んでいく。白と黒が点滅し、モザイクのようだった。
#即興 #小説 #ショートショート #短編小説

金属バット
―はずだった。
「美枝林檎食べる?」
看護師の朝の点呼のあとに母親が来て、ベッドの脇でリンゴの皮を剥いていた。つるりつるりと皮が伸びていき、無駄をそぐような手つきが私は苛立った。
「いらない」
私がそういうと、母はぴたりと手を止めごみ箱の中にそのまま林檎を滑らせた。ゴトリと自販機でジュースが出るような音だった。
「そうよね、まだそんなげんきもでないわよね、ごめんね。」
その言葉を皮切りに母は無機質なリノリウムの床に向かって、羽虫が飛び回るような声で独り言を始めた。
私はそんな母を視界の外に置き、病室から外を眺めた。広い病院の中庭では、笑顔の母親がはしゃぐ子供を車いすに乗せ、小高い草の部分を進んでいた。子供の車いすの背中部分には小さな医療機器の様なものが設置され、そこから伸びた管は彼女の体中に伸びていた。あの庭の向こうには畦道が広がってるらしい。
「父さんは?」
窓の外に顔を向けたまま、母に聞いた。羽虫の音はやんだ。
「お父さんもね…会いたいんだろうけどね…ほら、自殺未遂したってなると
父さんの仕事柄的にね…ちょっと、難しいじゃない?」
探るような母の声に目じりが引きつく。
―そうですか、そうなんですか、娘が自殺未遂ですよ、もう3週間たちますよ、気にはなりませんか、大層立派にお仕事をされて素敵なものです。
「それじゃあ、お母さんは今日は帰るから」
「…」
私が返事をしないとまた羽虫のような一人言を言いながら部屋を出ていく。輪ゴムで縛った後ろ髪が静かに上下に揺れた。
しばらくすると窓の外で母が誰かにぶつかりそうにしきりに頭を下げては、うつむきながら歩いて行った。
母は私が3週間前に自殺未遂をしてから、性格が170度変わった。もともと周りの目を気にしながらも虚勢を張っているような人だった。それが私の事件をきっかけに父にも、祖母にも、私の高校の名前を自慢してた近所の人にもことあるごとに何か言われたのだろう。腰が低いどころではなくなってしまった。もちろん責任など感じてはいない。父がどうなったかはあってはないので、知らない。きっと「先生」である父は全国を飛び回っては喧しい政治の議論でもしているのだろう。
ふと、飛び降りる前のことを思い出した。風が強くて柵につかまっていないと、吹き上げられてしまいそうだった。メリーポピンズの話を思い出し、こんな状況下でと一人苦笑した。何がつらくて自殺しようなんてと、SNSでの友達には言われた。理由は上げてみれば両手両足では足りなかった。
ただ、一番堪えらえなかったのは他の普通の人の姿を見ることだった。当たり前のように学校帰りに同級生と買物をし、母親と出かけ、悪口を言っていた父親との旅行。地獄の中で天国がよくよく見える自分の状況に耐えられなくなった。
結果、私は下半身より下は動かなくなった。右腕も骨折がひどく骨の形が戻るかわからないらしい。
「ふぅ」
一息つき震える左腕を無理やり棚にある本へと伸ばす。びりびりと左腕を螺旋上に痺れとも痛みとも言えないものが走った。痛みで上半身が床に倒れこんだ。体をおこそうとしても、体に力が入らない。
「これじゃあ、もう一度も出来ないか」
笑い声が出た。しばらく止まらない笑い声が。途中から誰の声かわからなくなった。私はそのままだらりと床に伏せた。過ぎたものとして取り残されようと私は思った。
#短編小説 #ショートショート #小説 #即興

金属バット
「えーっとこれで全部ですかね」
税務官は家を一周し、バインダーではさんだ財産目録を私に見せてきた。
「間違いないです」
「はい、じゃあサインと印鑑を」
税務官はインクの少なくなった黒のボールペンを渡してきた。私はバインダーをピアノに置き、サインを書き、印鑑を押す。
「それじゃあ、明日業者が回収に参ります。くれぐれも傷つけたりしないようにして下さい。今回の押収で恐らく税金の未納は無くなります。後日、また文書お送りさせていただきますので」
税務官は書類に目を落としたまま、口早にそう言い、家からでていった。
ガランとした部屋の中でピアノにすとんと、そのまま身を落とす。税務官には触るなと言われたが、ゆっくりとピアノを開き鍵盤を叩いた。ずっと昔に聞いた音。ずっと濁って聞こえた。
「何でかなあ」
負の遺産をいつの間にか引継ぎ、当たり前のように家の中のものは無くなった。法律や税金のことが分からない私には、何のことやらだった。
なにかご飯でも作ろうかと台所に行き調味料を確認すると、賞味期限が切れていた。
小さく溜息をつき、差押の札がはられてない古いハイヒールを履き、近所のスーパーに向かった。コツコツとヒールがコンクリートを叩く。その音がいやに耳につく。
醤油とみりん、料理酒、魚を買って来た道を戻っていった。
「つっ…」
くるぶし辺りになんとも言えない嫌な痛みが滲む。しばらく履いてないせいか、靴ずれを起こしたみたいだ。ここでも躓くのか、自嘲気味に私は笑った。
空を見上げると雲一つ無い晴天だった。どこかで幸せな家族は、手をつなぎ、心をつなぎ、笑っている。ざらざらとした気持ち。
「あーあ」
私はハイヒールを道に投げ捨てた。周りが横目でこちらを見ていたが構うものか。昔よく弾いた曲を鼻歌で歌いながら、道をひたすら進んでいく。徐々に足の裏の感覚は鈍くなっていく。
「大きい犬がいて」
私は歩く。
「旦那は休みの日はゴロゴロして子供にねだられて」
私は歩いている。
「年に一回ぐらいは沖縄とか行って」
私は歩かされている。
「そんな人生が良かったなあ」
今の生活とは120度ぐらい異なる生活。旦那は逃げ、子供は出来ず、家には一人。
「そんな人生笑っちゃわない、ねえ?」
誰の声かと思ったら、自分の声だったことに気づいた。
「あの、高階さん」
振り向くと近所のババアだった。鬱陶しい。こんなババアでも私よりは良い人生をおくってるのだろうから。
「あの足とか…それに…なにか嫌なことでもあったの?」
噂好きのコイツが知らないわけがない、白々しい。
「家のもぜーんぶ、差し押さえされたんです。」
笑顔で言い放った。ババアは「あら…そう…それは」と目を泳がせていた。
「人並みに幸せを求めて人並みに生きて人並みに働いて人並みに結婚して。誰か私の人生貰ってくれませんかね?いります?私の人生?いらないですよね?」
ババアの顔も見ずに、私は鼻歌をまた歌い出した。鼻歌を歌うと、心のザラつきは徐々に丸くなっていく。私は楽しいことを忘れることにした。人並みとか過去とか思い出すから、ザラザラするんだ。鼻歌を歌おう。鼻歌を歌えば、どんな地獄も怖くない。家についたらピアノをひこうと思った。
#小説 #ショートショート #短編小説

金属バット
「…」
長年勤めた会社を退職して三週間。
最後の出社日、部下からは口々に「お世話になりました」「ありがとうございました」と上滑りするような言葉を言われた。在職中、慕われた覚えはない。廊下の曲がり角の先で、陰口が聞こえ、廊下を折り返したりもした。いつもにこやかな顔がしゃくに触り、辞職に追い込んだこともあった。退職時、色々な書類にサインや捺印をしたが退職後のことを考えると、気が重かった。
家の中で時計の針の音だけが、コツコツと響く。「地域はつらつ共生健康事業」と書かれたパンフレットを取り出した。表紙に書かれたイラストを少し眺め、床に放り出す。
「どうにもな」
再び、冷めたお茶をすすった。
「すいません」
自宅の玄関から女性の声が聞こえた。逸る足を一度止め、一息おき「はいはい」とゆっくりとしたあしどりで玄関に向かい、開けた。そこには40歳ぐらいの女性が立っていた。
「あの、私、3週間前に引っ越してきた安住と申します。あこれ、引っ越しのあいさつがてら」
のし紙が付けられたそれは、引っ越しそばだった。
「すいませんね、ご丁寧に。一人暮らしの老人ですが、一つよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
安住さんは柔らかな笑みを浮かべると、丁寧に腰をたたんだ。思わず、つられた腰をたたんだ。
それから、街中で安住さんとはよくすれ違いその度に、声をかけてくれた。早くに夫を亡くし、近くのアパートで、働きながら暮らしているようだった。日々の通りのざわつきも近くなった。
安住さんと知り合ってちょうど一年ほど経った日、いつものように「すいませーん」
と玄関から声がした。
「はいはい」
自然と上がる口角を引き締め、玄関に向かった。安住さんはいつもと違い、スーツを着ていた。
「あら、安住さん珍しいじゃないか。」
「はい、今日はプランの更新のご案内です。現在の1年間隣人プランがそろそろ満期になりますので」
「は?」
何かを安住さんが話していたが、理解出来なかった。はたと思い出し、家の通帳などをすべて入れてある箪笥まで駆ける。引き出しを開け、退職時の書類の束を取り出した。その中に挟まっていた一枚の書類。「退職後も楽しい。わくわく1年隣人プラン」と書かれていた。捺印のあとがあった。
玄関から声がする。
「もしもーし、大丈夫ですか?もしもーし」
女性の柔らかな声が、家の中に何度か響く。足を引きずるようにして、私は玄関に戻った。
安住さんは相変わらず、にこやかな笑みを浮かべていた。思わず目をそらす。その笑みが妙にしゃくに触った、声の事務的な調子までも。
「あ…」
指が強張る。
自分の呼吸音が身体の襞まで響く。
顔をゆっくりと上げた。
「お久しぶりです、部長」
わずかも歪まない笑顔。整った眉。瞳は私を見ていなかった。
玄関の向こうの通りの賑わいが、ひどく遠い。
「あと…あと、1年間延長でお願いします」
「ありがとうございます。」
震える手で印鑑をおした。印影がわずかに掠れた。
#小説 #短編小説 #ショートショート

金属バット
「お邪魔します」
ドアを開けると、タバコとカビが入り混じったような匂いが鼻腔に広がる。部屋は昼間にも関わらず部屋は真っ暗だった。いや、厳密にいえばベランダにつながるガラス戸に隙間なく張られたガムテープ越しに、僅かに光が透けていた。籠の内側から外を見たらこんな感じなのだろうか、と思った。
視線への恐怖がある、と資料では確認していた。ドアノブの儀式もその延長線上にあるようだった。
フローリングに直接敷かれた布団の上に、女性が足を折りたたむようにして座っている。スウェットを着た体躯はあまりに小さく、触れれば壊れそうだった。
「はじめまして、ケースワーカーの佐伯です。上戸様でよろしいですか?」
女性はコクリと頷いた。
生活保護受給者のケースワーカーとして、1年目、初めての一人での自宅訪問だった。事前の資料で確認していたが、ガムテープで目張りされたガラス戸を実際に目の前にすると、意識がふと遅れるような感覚があった。よく見ると、上戸さんは灰皿を床に置き煙草を換気扇も回さずに吸っていた。
「上戸さん、最近ご体調はどうですか?」
上戸さんが、煙を口の端から漏らすように吐く。
「…別に。いいように見えます?」
ガラガラの擦り切れたような、しかし幼い声だった。資料によれば21歳のはずだ。
「そうです…か。病院には通えてますか?」
「メンタルは一応。薬きれないように」
「なるほど…切れないように、と」
上戸さんが再び煙を吐く。ガムテープ越しの光が煙を淡く照らす。間を埋めるようにメモを取った。
「これって」
上戸さんは煙草を灰皿でねじり消し細く漏らす。
「どうしました?」
私が聞き返すと、上戸さんは浅く笑った。
「これって意味あります?なんか年に2,3回来て体調大丈夫か聞いて雑談して」
膝を抱えるようにして座っていた上戸さんは、目から上だけをこちらに向けていた。網膜にこびりつく瞳。
異様に大きい黒目に、舌が乾く。
「あぁ、上戸さんとか受給者の方々の生活状況を把握して、今後のためにですね」
「生活状況の把握。今後の為に」
そこでまた浅く笑う、上戸さん。
「じゃあ、まずこれを聞いたら。このガムテープ、やばいやつとか思ってんでしょ?生活状況の把握なら、そんぐらいしろよ!表面なでてすましてんじゃねぇよ!」
上戸さんが突然声を高く張り上げた。部屋の壁を叩く声に身体が縮む。
「すいません。あの、また、きます」
私がそう言うと、上戸さんはどさりと布団に座り込んだ。私は急いで部屋から飛び出た。アパートの前の道路まで駆けでた。外の空気がこんなにも澄んでるとは思わなかった。
飛行機が空遠く飛んでるのが見える。
「そんなん、出来るかよ」
無意識に言葉が零れ落ちた。
「聞いたらキレんだろうがよ…どうせ」
震える手をぽたぽたと涙がたたいた。
#短編小説 #小説 #ショートショート

金属バット
大学生になり、上京するとあまり実家に帰れなくなった。日々の祖母の悪態から離れてみると、磯辺揚げのちくわだけがなくなったような、生きる雰囲気だけの日々を生きている気がした。祖母の白足袋が木張りの廊下を叩く音が、記憶の奥で鳴った。
ある日、実家に帰ると祖母は仏壇の写真立ての中から出てこなかった。父が言うところによると、「小さい頃から、お前も悪態をつかれていただろう。葬式には来ないと思った」らしい。背骨の位置が分からなくなった。
仏壇の前に座り、お香を立てる。よく祖母が「お香なんて、辛気臭い、辛気臭い」と言っていたのを思い出した。写真立ての祖母はこちらを顎を引き、口を一文字に結んでいた。
「なに勝手に死んでんだよ…クソ。」
悪態はつかれなかった。
#ショートショート #小説 #短編小説
もっとみる 
関連検索ワード
